ここ数年、コンビニのアイス棚が賑やかになった。
値段もじわじわ上がっているけれど、それと同時に、味の質も確かにアップしている。
昔の30円の棒アイスとは違い、濃厚なクリームや果実の酸味、複数の層を楽しめる工夫。高級感が増したアイスは、まさに“大人のデザート”と呼べる仕上がりだ。
この変化には、猛暑の影響も見逃せない。
暑さが厳しくなると、冷たくて美味しいものへの需要は自然と高まる。だからこそメーカーも、より手の込んだ商品を投入し、消費者の期待に応えようとしているのだろう。
さらにSNSが普及したことで、見た目の華やかさや写真映えも重要な要素に。思わずシェアしたくなるアイスは、買う側の購買意欲を刺激する。こうして売上が伸びているのも、時代の波に乗った結果と言える。
もちろん、昔ながらの安いアイスも根強い人気を保っている。子どもの頃の懐かしい味や、手軽に買える手頃さは、今でも魅力的だ。だが、値段の差が大きくなると、それだけ期待する味わいも変わってくる。
自分も最近は、150円より300円のアイスに手を伸ばすことが増えた。単純に“贅沢感”というだけでなく、暑さや気分に合わせて、選べる楽しさがあるからだ。
だからといって、高級志向のアイスがすべてを置き換えるわけではない。むしろ、多様な選択肢が揃っていることが嬉しい。夏の暑さを乗り切るために、ちょっとリッチな味わいを楽しみたい日もあれば、気軽にパクリと食べられるアイスで涼をとりたい日もある。
価格が上がったからこそ味わえる豊かさもあるし、逆に昔ながらのシンプルさに安心する瞬間もある。
この夏も、冷たいアイスを手に取るたびに、「今の自分にぴったりの一品」を見つける楽しみが広がっていく。