Mac mini をどこに置くか。それだけのことに、どうしてこんなに時間がかかるのか。
と、自分でも呆れながら、数ヶ月にわたって悩んでいた。
発端は、デスクまわりの配線を見直したときだった。スピーカーやモニターの裏にケーブルを通し、USBハブや電源アダプタを棚の裏側に隠す。こうして整理されたデスクに、Mac mini だけがどこか所在なく居座っていた。何かいい固定方法があるのでは、と思ったのが始まりだった。
定番は、デスクの裏にマウントして「浮かせる」設置方法だ。調べてみると、Mac Studio 用のマウントプレートを流用している人も多い。サイズに余裕があり、排熱にも配慮しやすそうだ。ただ、デスクにネジ穴を空ける必要がある。DIYが苦手なわけではないけれど、位置を決めきれない自分にはハードルが高かった。
クランプ式の棚も検討した。ところが意外と選択肢が少ない。そもそも「クランプ棚」というジャンルが確立されていないらしく、用途もサイズもバラバラだ。VESAマウントや PC ホルダーなど専用品は多いのに、なぜかこういう汎用的なもののほうが見つからない。
そんなとき、ふと「いっそ“浮かせる”発想をやめてみてもいいのでは」と思った。
机と一体化させるのではなく、机の下にそっと置く方法。薄型のサイドテーブルやスツールを探してみると、案外すっきり収まりそうなものがいくつも見つかる。しかも、どれも手頃でデザインも悪くない。
「隠す」「固定する」という前提から離れると、選択肢は急に広がる。もちろん、ホコリや排熱への配慮は必要だけれど、それもまた一体化と同じくらい慎重に検討できることだ。
整然とした環境を目指していたはずが、いつの間にか「格納」や「収納」という言葉に縛られていたのかもしれない。Mac mini は引き出しの中じゃなく、すこし手前に置かれていてもいい。目に入る場所にあるからこそ、気づくこともある。
そんなふうに考えを切り替えられたのは、回り道のおかげだった気もする。